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「法制問題小委員会平成20年度・中間まとめ」に関する意見(1)

に関するパブリックコメント その1

第1節 「デジタルコンテンツ流通促進法制」「2 コンテンツの二次利用の円滑化に関する課題」について

著作権契約に関する課題とその考え方に関して、インターネットにおけるデジタル著作物の流通に関しては、いわゆる著作権団体に(1)許諾の規定がない、(2)料金が非常に高い、(3)ストリーミングに限定、(4)ファイル共有においては不当に重い要件を課す、などの理由によって許諾がなされていないとう実情がある。現在、一般には権利者不明の場合に限定されている裁定利用の制度を拡張することが検討されるべきである。

第2節 私的使用目的の複製の見直し」について

.. 本委員会では、ACCS等の調査を用いているが、この調査は、ファイルの内容を確認したものではなく、ファイル名から内容を判断するという愚を犯している。しかしながら、いわゆるファイル共有においては、ファイル名とファイルの内容が異なることが多く、これらの調査はファイル共有における流通の実態を正しく把握したものとは言い難い。このような不十分な調査をもとに判断することは早計と言わざるを得ない。

第3節 リバース・エンジニアリングに係る法的課題について

リバースエンジニアリングに権利制限することは賛成である。しかし、リバースエンジニアリング自体は逆コンパイルを許容することであり、それだけでは不十分である。逆コンパイルしたコードに修正を加えて再度コンパイルすること、同プログラムを利用することも一定の場合に許容されなければ、研究等は不可能になる。

実効性ある制度にされたい。

第4節 研究開発における情報利用の円滑化について

研究目的での複製等に権利制限すること自体は賛成であるが、本来的にはこれらはフェアユースの中で論じられるべきであり、速やかなフェアユース規定の創設が望ましい。

第5節 機器利用時・通信過程における蓄積等の取扱いについて

キャッシュ等に権利制限することは、賛成であるが、一時蓄積についてはそもそも複製から除外するべきである。

また、一時蓄積について合理的時間を要件とすること自体は許容しうるものではあるが、その時間については利用形態によって望ましいキャッシュ保持時間が大きくことなり、合理的時間を短くすることは実質的に一時蓄積自体を否定するものになりかねない。合理的時間については幅のあるものにされたい。 ..

通信に伴う蓄積について権利制限とすること自体は賛成である。しかし、これは従前からグレーゾーンといわれていたところであり、これを違法視することは世界中をみても例がない。権利制限規定を限定的におこなうことは他方で残る多くを違法視することになる。これでは、現在のインターネットを否定するになりかねない。

また、現在、必要なところにいかにキャッシュを保持させて無駄な通信を減らすかという研究が国を挙げて取り組まれており、これらの取り組みを十分理解したうえで検討されたい。

本報告書は「また、P2P(ピア・ツー・ピア)型の通信技術を活用し、利用者が著作物等をアップロードできるファイル交換ソフトにより、違法に著作物が流通している場合においては、権利者が最初のアップロードをした者に対して権利行使をした後であっても、中継過程の蓄積及び公衆送信の態様によっては、著作物の違法な流通を助長し、著作権侵害の著しい拡大を招来する場合がある。」という記載がある。

「ファイル交換ソフト」は、File Sharing Softとおもわれる。これは「ファイル共有ソフト」とされるべきである。まずこの点を改められたい。

一部のP2Pファイル共有は不当な刑事事件により開発が中止させられたことがあるものの、現在のP2Pファイル共有技術は管理可能となりつつある。

また、現在、著作権侵害はYoutubeなどのサーバ型などで広くおこなわれているように、著作権侵害を招来するかどうかということと、P2Pかどうかということとは直接関係ない。

また、中継過程の蓄積等を問題視している部分については、あたかもWinnyが著作権侵害を招来したかのような表記に読める。しかし、P2Pファイル交換ソフトや中継が著作権侵害を助長したのではなく、P2Pファイル共有の効率良い流通がデジタルコンテンツ流通に利用されただけである。P2Pファイル共有ソフトが著作権侵害の拡大を招来したという..のは誤った理解によるものであり、委員会の無理解は見逃しがたいものがあり、認識を改めるべきである。

以上